朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

ユメ見る74歳

「ママン、宇宙はどないして出来たか、知ってるか?」

「おとーさん、また始まったな、いつものクセ」

「それがわかってるんやったら、ちゃッちゃッと答えてよ」

「ハイハイわかりました。ビッグバンの結果、宇宙ができたと聞いております、知らんけど、おしまい」

「知らんけどおしまいは、余分やで」

「それで今日の話はどないことになんの? 内容によっちゃイズミヤがおいでおいでしてるんやから」

「なんでイズミヤがおいでおいですんの。内容によっちゃとは聞き捨てならんな」

「のーがきはええから、はよ言うて。さー言うてごらん」

「ほんまのこと言うとな、ビッグバンと宇宙はもうええねん」

「なんやのん。そしたら、なに?」

「ビッグバン、大爆発いうて、それが例えば岩みたいなカタマリのもんやったんか、そんなもんやったんやろと勝手に想像してるんやけど、それがわけがわからんほどの大ムカシ爆発によって宇宙が誕生したと? そして、その爆発による膨張は今以て続いていると? こういうことなんやけど、そしたら、宇宙の外側の空間は、これなんや? この空間は、なんちゅう名前がついてるの? いやいや名前だけやない、この空間はいつごろ出来たんや? そしてこの空間は限りがあんのかないのか? というよーなことをな、知らんまーに考えてるんや」

「おとーさん、もう近いな」

「近いなて? なにが?」

「言わんでもわかってるやろ。そろそろやー言うことや」

「ピーンときたか?」

「ピーンときた」

「こんなんは自分ではわからんけど、見てたらピーンとくるらしいな、知らんけど」

「それでええんちゃう。おとーさん見てると、いっつもユメんなかにおるんちゃうか思うくらいやから、それでええ、それが一番かもしれんな」

「ユメ見る74歳か。自分で言うてみて、なんか納得するな。このままシャボン玉んなかにおるみたいにふわふわと、知らんまーにバイバイでけたらサイコーやな」

「わたしはかまわんけど、あと10年はがんばってもらおか」