グワンバレ! タイガース
「そやさかい、ヤメとき言うたやろ」
「しゃーないやろ、観たいもん」
「わかるよ。わかるけど、楽しみにとっとかんと」
「楽しみにとっとくて、どーゆーこと?」
「あしたの新聞見るんや。どーなってるやろかなあ、思て」
「それやったら今でもえーやん、結果」
「えーよ。ママンの自由やからな。けどこれから寝よかーいうときにやで、つまらーん負け方したら気分悪いやろ。寝付きも悪なるやんか。それでゆーてるんや。1塁に悪送球した時点でテレビ消さんと」
「へーきやで。すぐ寝れるで。負けたからいうて、損するわけでもないし」
「そーそー、それでええねや。それよりママンにそーだんやけど」
「イヤな言葉やな、そーだんて。おとーさんからそーだん言われたら反射的にサブイボ出るわ」
「そんないーかたないやろ。えーハナシやと思うで」
「なんやのん、えーハナシて。アカン、乗ってもーた」
「今年チョーシええやろ、タイガース」
「まあまーな。若い人がガンバッてるからな。よーけもろーて、アカンのもおるけど」
「そこでな、カブどーやろかなあ、思うんや」
「タイガースのカブってあるの?」
「いやいや、タイガースがカブ出してるわけやないけどな。親会社の阪神電車が出してるんや」
「それやったら、かんけーないやろ」
「ところがおーありなんや。ゆーしょーでもしそうになったらな、あがるんやカブが」
「ほんまかいな。そんなタンジュンなもんやないやろ?」
「そーじゃねーんだ。ちがうんだ。いけるんだ、あがるんだ」
「どないしたん、きゅーに?」
「いやいや、昼間な。『早春』ちゅう映画観たやろ。あれで高橋貞二が言うてたセリフをマネしたんや」
「ややこしいシトやな」
「いやユーショーしたら、いやいやせんでも、それらしい雰囲気になったきたら、かならず上がるんは、おれがほしょーするわ」
「フフン、おとーさんの保証、せーじ家の言うてることでもアテにならんのに、おとーさん、言うてることわかってるの」
「それ言われるとツライけど。間違いないと思うで」
「それで、阪神のカブなんぼあったら買えるの?」
「100株やから30万から40万のあいだやな」
「3000円では買われへんの? これくらいやったら貸してもえーけど」