續 音読のススメ
本を読むのは嫌いではない。といって好きかといえばそうでもない。テレビと本を天秤にかけると断然テレビである。そうはいっても年に何冊かの本を読む。いま読んでいるのは『ファーブル昆虫記』(奥本大三郎訳)である。
ふと思いついたのが音読のきっかけだった。読み始めたときはつっかえひっかえ、読み間違えも多かったが、馴れるにしたがって、口が目について行けるようになった。滑舌が悪いのは相変わらずだったが。
そういえばと思い出すのは祖父である。わたしがまだ子供のころだったが、畳に広げた新聞の文字を、独特の抑揚をつけて読んでいた。
音読を心がけるようになって、思わぬ効用に気付いた。たとえば人の名前。テレビなどでよく観るタレントの名前などを思い出すのが速くなったように感じたのである。
妻にも音読を勧めた。ふたりとも、物忘れなどの老化現象は歳相応で仕方ないと思っているが、声を出して本(だけに限らないが)を読むことでいくらかでも頭がスッキリすれば、それはそれで有り難いことだと思っている。