朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

大友柳太朗(テレビドラマ・水戸黄門より)

「ママン、ちょっと待って」

「なんで?」

「大友柳太朗が出んねん」

「そう、そしたらそれ観てからにしよか」

「うん」

「どんな役やろ?」

「わからん。前はえらい薄汚れた浪人役やったけど、こんどはどんな役やろ」

 

「おさむらさんさんや」

「うん。よう似合うな。この人は目がええからな。見てたらそっくりそのまま、真面目ちゅうんかなんちゅうんか、立派な人やなあ、思うな」

「自殺しはったんやね。真面目すぎたんかな」

「そうかもしれん、そういうことやろなあ。歳とってからセリフがなかなか覚えられんいうて悩んでいてはったみたいやからな」

「なあ。死なんでもええ思うけど、そうもいかんかったんかな」

「そういうことやろなあ。おれなんかみたいにええ加減な人間やったら、そないなことにもならんと済んだんやろけどな」

「おとーさんに替わってもろたらよかったのにな」

「そうそう、おれが替わって、なに言うてんねや。まあなあ。子供のころの話やけどな」

「急に変わんねんな」

「霧の小次郎って知ってるか?」

「知らん」

「そしたら五升酒の猩々は?」

「それも知らん。ゴショウザケの、何?」

「ショウジョウ」

「ショウジョウて、何?」

「いや、おれも知らんのやけどな。それはどうでもええけど、そしたら紅孔雀とか笛吹童子は?」

「ああ、それなら知ってるわ。ラジオでもやってたんちゃうかな」

「そうそう、新諸国物語いうて、やってたやってた。そこでな大友柳太朗のことやけど霧の小次郎とか五升酒の猩々とかの役をやってはったんや」

「そう。それがそうなん」

「そやねん。チャンバラごっこようやったからな。中村錦之助とか東千代之介の役より大友柳太朗のやるやつのほうが人気あったんや」

 

「なんか意味ありげのおさむらいやな。最初のタイトルが討たれに来たなんとかになってたんで、仇で大友柳太朗が討たれるほうになるんやろ」

「どんなストーリーやろか」

「そういうことやったんか。大友柳太朗のおさむらいがまだ若かったころ、自分が勤める藩になんか知らんけど急用がでけて、大急ぎで馬で走ってたときに、荷車を引いたおじいさんが邪魔やいうて、斬り殺してしもたんや。その荷車の上に積まれてた米俵と一緒におじいさんの孫娘も乗ってて、それで大友柳太朗、それからずーっとそれが頭から離れんと十何年か、その娘も大きゅうなってるやろと、じいさんの仇はおれやいうことで、仇討ちやのうて討たれるほうで娘捜しに来たというそういう役やったんや」

「けど娘も、助けてもろてるからな柳太朗に、馬に蹴られそうになって。そう簡単にはいかんやろ」

「ほんまや。そう簡単に割り切れるもんやないな。気持ちわかるわ」

「ハハハ、おとーさん観て観て、お坊さんになってはるで」