ご飯がうまい!(昼食編)
出掛けていた妻が帰って来た。
私はコタツに首だけ出して寝ていたので帰って来たのは気付かなかったが、何時? と訊くと2時過ぎだと返ってきた。
「昼ご飯食べた?」と妻が訊いた。
「食べてない」と私。
「なんで食べなかったん? 言うたやろ。冷蔵庫にお好み焼きがある言うて」
「ああ、お好み焼きか。あれ食べた」
「食べてないて、食べてるやないの」
「いや、ママンが昼ご飯食べたか? 言うたんでご飯は食べてない言うんや」
「なにボケたこと言うてんのほんまに。ぼーッと生きてんじゃねーよ!(Don't sleep through life!)」
というようなわけで、遅ればせながら我が家にもご飯論争の波が寄せて来ました。74歳ジジイとはいえ、やはり流行には敏感でなければならんと遅ればせながら使わせていただきました。
「おとーさん、ちょっと出掛けてくるわ」
「どこ行くの?」
「コープ」
「コープ? なに買うの?」
「豚肉」
「豚肉、もう無いの?」
「あるけど、足らへんねん」
「豚肉て、なにすんの?」
「お好み焼き」
「お好み焼きか、うまいで、ええな」
というようなわけで我が家の本日のランチはお好み焼きに決定。
「おとーさん。冷蔵庫からマヨネーズ出して」
「おとーさん。青のり、どないしたん?」
「どないしたて、青のりのこと、聞いていてないで」
「聞いてないて、なんやのん。お好み焼きやで。頭働かさんかいな。冷蔵庫何遍も開け閉めして、1回開けたら20円かかるんやで。ぼーッと生きてんじゃねーよ!」
お茶の用意をするのはいつも私の役目だ。湯呑み茶碗を戸棚から出す。仏壇用のも含めて5つ。電気ポットから急須へお湯を注ぐ。
そのとき冷蔵庫がピーピーピーピーと注意・警告音を発する。仕方がない。パッキンがゆるんでいるのだ。震災の後に買ったやつだからな。
開けて閉める。どーや、これで。あかん。それも一度。これでもあかんか。
「おとーさん、どいて。こーすんねん」
バタン、ピーピーピー、バタン。ピーピーピー、ええい、バタン、ピーピー、なにすんねん。電源プラグを抜く。「なー、止まったやろ」。差し込む。冷蔵庫は黙り込む。
「なー止まったやろ」
「おさきにー」と箸を持つ。