2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧
「駅前で声かけられてな」 「どこで?」 「駅前、北側の改札の前や。仕事行く途中」 「だれに?」 「知らん人」 「しらん人? 知らん人てだれよ」 「そやさかい、知らん人や」 「だからあ、知らん人いうても、知らん人が声かけてくるなんてないやろ。だれや…
「ベーコンまだあった?」 「半分残ってる。このまえ、焼き飯したやろ」 「挟もか?」 「そやね」 「そしたらジャムはええな」 「ヨーグルトの分だけで、ええやろ」 「カラシ、もうあんまり残ってなかったな」 「今日の分は?」 「いける。ママンどうする?…
「おとーさん、明け方にえらい歯ぎしりしてたよ」 「そうかあ。ユメ見てたんや」 「どんなユメ?」 「怖いユメやった。山の広い石切場みたいなとこでな、大きな石を背負わされるんや」 「へええ、怖いユメやなあ」 「そやろ。その石をやなあ運ぶんや。ぼた山…
「それでな」 「それでなて、なんのこと?」 「昨日の話の続き」 「なんの話やった?」 「人の話まともに聞いてないやろ」 「おとーさんええ加減やからな」 「そんなことはないよ。しっかり聴いてたら、その話のなかから1滴か2滴なるほどなあ、思うことも…
「ママン、玉手箱、知ってるやろ?」 「玉手箱? 知ってるよ。桃太郎やろ」 「桃太郎? 桃太郎やないよ。玉手箱やで」 「ああ、玉手箱かいな。玉手箱やったら、ほら、あれ、カメを助けて」 「出てこんか。一寸法師」 「一寸法師やないよ、あれやん、太郎、浦…
「おとーさん、どうする。今日買うの?」 「天気よさそうやから、買おか。なんぼやったかな?」 「1000円近くやったと思うよ」 「そやったな。このまえな、どうしょうか思て見てたとき、おばちゃんが来てな『渋柿やろ、もっと安てもええのに』言うからな…
「おとーさん、何枚にする?」 「そうやなあ。30枚でええやろ」 「わかった」 「もう身内はやめよか。どうせ電話するやろ」 「もうええやろ」 「10枚くらいは仕方ないけど、あとは今年限りで失礼しますで辞めるわ」 「書かれへんの?」 「書かれへんわけ…
A の絵 耳・ラジオ・オルガン・大砲 「耳に聞く、ラジオ、オルガン、どん! 大砲」 フライパン・てんとう虫・竹の子・ライオン 「フライパン、上で踊るはてんとう虫、竹の子くわえた、ライオンさん」 スカート・ぶどう・ものさし・オートバイ 「スカートはい…
「いや、見てないよ」 「そおお、なんかしら鼻の下伸ばしてニヤニヤしてたんでやらしい夢でも見てたんかいなあ思たんやけど、見てないの?」 「うん、憶えとらん、見たかもしらんけどな」 「見たかもしらんて、見てたんや思うよ。言うたらええのに、夢の話や…
「プロ野球の話やけどな。ベテランのピッチャーがおってな。これまで長いあいだ活躍してたんや」 「うん」 「ところが年数が経ってだんだん衰えてきたんやけど、なんかしらんこれまでの実績を嵩に傲慢な態度をとるようになったんや」 「傲慢な態度って、なん…
「どや、調子悪そやな」 「頭重いし寒気するわ」 「血圧計ったんやろ。どやった?」 「クスリ、半分だけ飲んだ」 「昼間はそうもないけど、朝の3時4時から7時8時ごろまでがあかんな」 「うん・・」 「蒲団重たいのがあかんのとちゃうか? それだけではな…
「テレビ点けたらどこもかしこもちゃわ尻ちゃわ尻や、もううんざりやな」 「しゃあないやないの、悪いことしたんやから」 「そやな。悪いことしたんやからしゃないな。観らんかったらええんやからな」 「わかってるやないの、おりこうさん」 「もうだいぶ前…
「出たよ」 「オレもでた」 「柔らかかった」 「オレのは硬かった」 「そう」 「結構水分とってるんやけどな」 「おとーさん、ようお茶飲んでるけどな」 「あれ、ええやろ?」 「なに?」 「ヨーグルト」 「ああ」 「牛乳よりええやろ」 「うん、いまんとこ…
「おとーさん、お帰り。どやった、試験?」 「助かった。最初の16個が出たからな」 「最初て、どんなんやったかな?」 「耳に聞く、ラジオオルガンどん! 大砲」 「ああ、それ。よかったやん。何人くらい来てはったん」 「10人やな。9時半にな、自動車…
「おとーさん、歯ぎしりしてたよ」 「ほんまか」 「ストレス溜まってんのとちゃうの」 「ああ、そうかも知れんな。花見は中止んなるやろ。5000円返したやろ。やっとれんわ」 「5000円返したて、どこよ?」 「アベさんとこから送ってもろた5000円…
「おとーさん、お昼なにしよ?」 「なにするかなァ。なにしょ。にゅう麺もいつものことやからな」 「そやろ。でもええけどな。急に寒なったやろ。温もるからな」 「たこ飯、まだあるやろ?」 「ゆうべ、冷凍した。3つ、残ってる」 「それで1品やな。たこ飯…
「おとーさん、どこ行ってたんよ、フラフラとォ。油断も隙もないからな」 「シー! 大きな声だしな。家のなかやで、舟着き場とちゃうで。油断も隙もないてどういうこっちゃ」 「自分の胸に訊きんかいな。どこ行ってたん」 「郵便局や」 「なにしにィ?」 「…
「オーイ! ママン、ママン喜べ!」 「なんやのん、おとーさん、玄関前から大きな声して。ここ船着場やないよ」 「船着場? なんやそれ?」 「わからんの?」 「わからん?」 「わからんかったら、それでええやないの」 「コケるようなこと言いな」 「言うた…
司会「ご紹介しましょう。3人の神様です。まず手前から貧乏神様、続いて厄病神様、そして死神様です。本日はお忙しいところお出で戴きまして有り難うございます。宜しくお願いいたします」 3人「よろしこ」 司「よろしこ。大変にお忙しいと伺っております…
漏れ聞きますところによりますと、来年の春、安倍晋三総理大臣様肝いりの花見の宴をお開きになるやとのこと、まことにもっておめでたいこととお慶びもうしあげます。 わたくしども夫婦結婚以来50年の歳月を数えますが、まだ1度も花見の経験がございません…
ところが、ふてくされてぷっとふくれておりました雲が、呼びかけになったお方がお釈迦様だとわかりますと、いくつかのちぎれ雲を残したままあわてて駆けつけます。そして、お釈迦様の足元にピタリととまります。 するとお釈迦様は足元の雲に向かって、言葉に…
我も我もと、地獄旅への熱烈な希望者がお釈迦様のもとへ雲霞のごとく押し寄せてまいります。その数38億人。天上界の住人すべてがその希望者ですからもう手の施しようもございません。というて、参加者はだれとだれ、と選ぶわけにもまいりませんから、お釈…
お地蔵様の話を聴いておいでの多くの神仏・諸賢から、ハナをすすりあげる音や嗚咽をもらす大きな声が天上界の霊山に届くや木霊となって返ってまいります。 やがて木霊が落ち着くのを待って、お地蔵様は続けてお話しになります。 「そののちカンダタが悪名馳…
「とんでもないこと? とは?」 とお釈迦様、少し首を傾げて、特に弥勒菩薩様のマネをなさってのことではありませんが、無意識に右手の人差し指と小指を立てて、親指中指薬指は指先をくっつけ、野球のピッチャーが後方の野手に向かってツーアウトを徹底確認…
・・・お釈迦様とお地蔵様、くりくりの坊主頭がふたつ対面しております。おふたりの身長の差は大人と子供、お地蔵様の上背はお釈迦様の半分ほどで、もしおふたりがこちらを向いて立っておられるとしてそれだけで笑いが取れるという、芸のない漫才師にはうら…
ことの成り行きで仕方なく『蜘蛛の糸』の顛末をお打ち明けになりましたお釈迦様でございます。しかしこれがのちのち大変なことになるとは、「お釈迦様でも気がつくめえ」のセリフにある通りで、打ち明けられた片方はと申しますと、弁天さんでございます。弁…
弁天さんがお釈迦様の心の奥にお隠しになって「すべて世はこともなし」というようなおふるまいをなさっていたのにも関わらず、その憂いを目敏く感じたということはたんなる女の勘ではございませんで、お釈迦様にたいしてそれ以上の感情があったからでござい…
100年に一度開催されるという天国・極楽合同賢人会議の開催を宣言なさいましたお釈迦様、この集いを心からお喜びになっていらっしゃるはず・・・・ではございませんで、お顔にどこか憂いの影が射しております。その憂いのために、くったくなく騒ぎの輪の…
メインステージの中央に儲けられた蓮華座にお釈迦様があぐらをかいてお座りになります。そのメインステージの高さは、38メートルでございます。 この場所、お釈迦様がお座りになった蓮華座から見おろす会場の無限に広がる会場から38億の神仏や賢者偉人の…
お釈迦様がお乗りになった先頭の象の後ろには、お釈迦様のお乗りになってる白象ではございませんが、動物園などで人気のあの灰色の象の行列が延々と続いております。その数3800頭・・・先日このお噺を大阪サンケイホールでいたしておりましたところ、最…