朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ビー玉のむこう

「ママン、これ」 「なに? ビー玉やないの。どないしたん?」 「もう着らん服、そろそろ整理しよ思て」 「こうして出してみると、おとーさんもよーけ服あるんやな」 「ああ、死ぬまで買わいでもえーわ」 「ハハハ、わたしも整理せなあかんのやけど、ちょっ…

コンマリ流片付けの術

「ママン、コンマリて知ってる?」 「知ってるよ。けどアカンねん。医者に言われてんねん、甘いもんアカンて」 「なにそれ?」 「ァン巻やろ? アンコ包んだお菓子。とーにょー予備軍言われたから、アカンの」 「ちゃうちゃう。人の名前や。近藤麻理恵、縮め…

かきつばた

「ママン、ゆうべのテレビ観た?」 「どんなんやった?」 「浮世絵」 「浮世絵? ゆうべそんなんやってた?」 「ゆうべやったと思うけどな?」 「そらおとーさん、今朝のことやろ。ヨシワラのおいらんの浮世絵」 「それそれ。今朝やったか?」 「おとーさん…

気になることと気にならないこと

「例えばのハナシやけどな」 「例えばて、なんのこと?」 「例えば松方弘樹がテレビに出てたとするやろ?」 「いろいろ出てるからね」 「あの人、もう亡くなりはったけど、釣りが好きやったやろ? それもゴーカイな釣り。マグロとかトローリングで釣る、あの…

(懐かしき)エコノミックアニマル

「考えてみりゃあ、もうずいぶんムカシのハナシになるけどな」 「なに? なんのこと?」 「ニッポンが経済成長いうんで、右肩上がり元気よかったころからもう50年、半世紀過ぎたなんて考えられんな」 「もうそんなになるん。ほんまかいな思うけど、ほんまな…

いろいろお世話になります

「アカン! おれもクスリ2種類のまんとアカンよーになった」 「ハハハ、おとーさんなんかまだえーほうよ。わたしなんか3種類のんでるけどカラダに合わんから、ジンマシンでるんでかなわんわ」 「ほんまやなあ。合わんかったらかなんなあ」 「きのう目医者に…

運転免許証返納の解決法

「事故が多いなあ、年寄りの事故」 「ほんまやねえ。もうそろそろ免許返したら。起こしてからでは遅いからね」 「まあなあ。返せるもんやったら返すんやけど、そうもいかん部分もあるからな」 「けど、事故起こしてからやったら遅いやろ?」 「そやねん。け…

遅い! 遅すぎる!

「アカンなあ」 「なにがアカンの?」 「アカンわ」 「なんやのん、アカンアカンて」 「気づくのが遅すぎたいうことや」 「なんのハナシ」 「もう片足、いやいやそれ以上かもしれん、カンオケに突っ込んどるからな」 「またおとーさん得意のややこしいハナシ…

ハイ! わかりました

「ママン、昨日のテレビ『やすらぎの刻』観てたやろ?」 「うん、観てたよ。おとーさんも遺言とか、なにがどこにあるかとか、紙に書いといてよ。もうこの歳やからなにが起こってもおかしないからね。子供には迷惑かけられへんやろ」 「そやなあ。ドラマや思…

零和元年 春の叙勲

「ママン、ママンの名前さがしたけどなかった」 「わたしの名前? さがすてなに? 意味わからん」 「いや、新聞に載ってるかなー思てさがしたんやけど、いろんな人の名前よーけあるんで、さがすんに目がチラチラしたわ」 「なんでわたしの名前が新聞に載るの…

昨日の続き

「ママン、昨日の続きの話やけどな」 「昨日の続きて、なんの話やった?」 「憶えてないか?」 「憶えてないこともないけど、一個だけやないやろ。いくつも話したんちゃう? 知らんけど」 「そやな。後悔するとかせんとかいう話、したやろ? 憶えてるか?」 …

人生やり直せるもんなら

「ママン、後悔したことある?」 「あるよゥ。だれかてあるんと違う?」 「そやな。だれかてあるに決まってるわな」 「なんでそんなこと訊くの?」 「いや、新聞のな日曜版にアンケートが載ってたんや」 「どんなアンケート?」 「うん。『人生やり直したい…

山の吊橋

「や~まのつ~りは~しゃ~ぁー どな~たがとおる~ せがれ」 「おとーさんおとーさん、声が大きいよ。急にビックリするやろ。どないしたん?」 「どないもせーへんよ。急にな、唄いとうなっただけや」 「相変わらず昔の歌が好きなんやから。この歌、難しい…

ジジイの更年期障害

「ママン、あかんわ。我慢でけへん」 「なにがァ?」 「ママンは時代が違う、言うて楽しんでるけど、おれの好みにはあわん、あれ」 「『なつぞら』のことやろ。それやったら観なんだらええのに。週間視聴率は毎週一位キープしてるよ。大勢の人が楽しんで観て…

コンフィデンシャルパープー

パー国の首相パー氏と、プー国の最高指導者プー氏がなにやら裏で、水面下で、秘密裏に、なにかコソコソ、ヒソヒソ話をやってるらしい。パー国は島国、プー国は大陸から盲腸のように突き出た半島、狭い海峡を挟んだお隣どうし。かたや自由主義国家、かたや社…

思い出の京マチ子

「95歳やったんやね」 「だれ?」 「京マチ子」 「ああ、亡くならはったな。2、3日前やったかな『徹子の部屋』に岸惠子出てたんやけど、戦後からこっち、スターというてええ女優さんで生きてはるんはこの人くらいかな思てたけど、調べて見るとほかのもいては…

勝利の女神

「ザンネンッ!」 「ザンネンッ! っておとーさん、勝ったんやろ?」 「あかん、負けた」 「負けたて、あれだけ点取ってたのに。また負けたん、巨人に」 「なんや、タイガースかいな。タイガースは勝ったわいな。スガノ叩いて13点、ケチョンケチョンにやっつ…

将軍綱吉、ツナキチになる

「ママン、昨日ののコーモンさん観た?」 「コーモンさん?」 「水戸黄門や」 「観た? て、おとーさん、一緒に観てたやないの」 「ああ、そやったかな?」 「しっかりしーや、おとーさん。一緒に観てたやないの」 「そーか。毎日のことやから、ごっちゃにな…

国が豊かになるための処方箋

「ママン、おれが好きなジョークあるんやけど、聞く?」 「ええよォ。なんやのん水くさい。夫婦やで、そないに気ィ使わいでも、『オレのハナシを聞け~!』言うたらええのに」 「なにをおっしゃいますやら、ブルブルブル」 「忙しいねんで、早よ言い」 「若…

空想科学小説(後期高齢者用)

逆立ち人間が住む星の人びとから見れば、当然地球人は異様な「逆立ち人間」になる。地球人にも逆立ちして手で歩く人もないではないが、非日常である。少年はこの星の人びとから驚嘆と尊敬の眼差しで迎えられ、大統領を初め、多くの人びとから歓待を受けた。…

ブログ、まだやってんの?

「おとーさん、ブログまだやってんの?」 「ああ、なんとか続いてる」 「珍しいなおとーさん、たいがい3日がええとこなのに」 「いや、おれも自分でビックリしてる。世界七不思議のひとつやな」 「人間変わったんかな?」 「そうらしい。自分でもそー思う、3…

新発見

「ママン、新発見や!」 「なによ、大きな声だして」 「下の広場歩いててわかったんやけどな」 「新発見て、なにか見つけたん?」 「いや、そんなんやない、身体のことやけどな」 「身体のこと? おとーさんの?」 「そう。歩きながらな、手は遊んでるわけや…

空想科学小説(後期高齢者用)

空飛ぶ円盤が地球に飛来して少年を連れ去った。ドラえもんの得意技のひとつ、四次元空間を通ってのことだから彼らの住む星にはすぐに着いた。そこは逆立ち人間の住む星だった。逆立ち人間と言ったが、これは地球の人間だから言えることで、彼らにとってはこ…

元町商店街ぶらり

「おとーさん知ってる?」 「なに?」 「元町商店街で、なんか催しがあるみたいよ」 「そうか、行こか?」 「うん、行こ」 「なにやってるんやろな? 神戸祭りかな? 調べてみるわ」 「どやった?」 「パソコンで調べたけど、気配ないで」 「そう、電話した…

懐かしの吉本新喜劇

「ママン、おれがまだ若かったころの話やけどな」 「若かったころて、なんのこと?」 「いやあ、おれ神戸に出てきたんは17やったかな。そのころテレビで吉本新喜劇観て、オモロイなあ、こんなオモロイもんあるんやなあ思た憶えがあんねや。ママンも観てたや…

気分はインディアン

突然思い立って急ブレーキ急ハンドルで角ハンドルのオート三輪を左折したとき、おれは、後部の荷台に乗っているふたりのことなどまったく考えていなかった。ふたりは何事もなかったように後部の荷台でおとなしくしているものと、それしかおれの頭にはなかっ…

アタマの体操・オセロゲームをやってみよう

「ママン、やったことある?」 「なに?」 「オセロゲーム」 「ああある。負けへんで、自信ある」 「そうかァ、やめとこか? アカンねん。苦手やあれ」 「どうすんの?」 「いやあ、今日な。百均で500円の将棋セット買いに行くんやけど、ついでにオセロも買…

気分はインディアン

おれは騎兵隊に追われてる? ではないなら、騎兵隊を追い詰めている? でもないのだ。騎兵隊もモニュメントバレーも関係ない。おれは自分の家へ帰ろうとしているのだ。愛する妻やかわいい子供の待つ我が家へ。居留地? じゃない! 自分の家だ、アリゾナでも…

アタマの体操・詰め将棋をやってみよう

「ママン、やったことある?」 「なにを?」 「そやさかい、やったことあるか訊いてんねん」 「そやさかい、なにを? 訊いてるやろ」 「言うてなかったか?」 「聞いてないよ?」 「あれ? 言うてなかったかなあ?」 「おとーさん、頼むで。まだメンドー見る…

気分はインディアン

おれは角ハンドルのオート三輪の操縦に魂を奪われていたのだろうか? いや、そんなことはないはずだ。とはいっても、何も憶えていないのだ。この角ハンドルのオート三輪を借りたガソリンスタンドをセコ発進したことは憶えているが、そのあとの記憶がまったく…