朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

空想科学小説(後期高齢者用)

 空飛ぶ円盤が地球に飛来して少年を連れ去った。ドラえもんの得意技のひとつ、四次元空間を通ってのことだから彼らの住む星にはすぐに着いた。そこは逆立ち人間の住む星だった。逆立ち人間と言ったが、これは地球の人間だから言えることで、彼らにとってはこれが普通のことでこの拉致された少年が「あなたたちは普通じゃない」といったところで? と思われるだけのことだ。この星の住人逆立ち人間は、地球人と比べてそうとうに知能のレベルが高かった。高かったではまだ不足だ。比較にならないくらい高いから高いという言い方は適切ではないのが本当のところだ。寝るときを除けば、トイレに行くときなどわずかな時間しか身体を逆立ち(彼ら彼女らにとってはこれが逆立ちになる)させないから常に顔はスイカを半分に切ったように赤い。知能の高さの証明はこの一例だけで十分だろう。だがこの星の住人にも弱点や悩みがないわけではない。睡眠中のこと、尿意を催したからといってすぐに起きては駄目なのだ。ここまで書けばおわかりだろうが、頭の血液不足で「立ちくらみ」が生ずるのである。連れ去られた少年は円盤を取り囲む大群衆の歓迎の嵐のなかで円盤を降りた。大群衆のどよめきと表現しようのない声にならない声は、円盤の周囲から後方へうねりながら広がった。