朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

気分はインディアン

 ぎこちなくワイパーが動いているのはまだ雨が降っている証拠だ。おれは旧いオート三輪の角ハンドルを操って今、国道2号線を走行中、目の前にある信号機の左前方には国鉄神戸駅の駅舎が雨に煙って沈んでいる。おれが操る三輪車のヘッドライトはひとつ、照らす光線の明かりは絶え間なく落ちてくる雨粒を捉えて点灯の証とするが、その行き着く先は濡れた道路に吸い取られなんとも頼りない。黒く濡れて蛇の肌のように鈍く光る道路が川のように後ろへ後ろへと流れ去って行くかに見えるのは、おれの操る角ハンドルのオート三輪がたしかに、アクセルを強く踏むおれの意を忖度しているのがおれに伝わる。濡れた道路には並行に延びる2本の鉄の線。神戸市市電の軌道だ。この旧式のオート三輪はおれのものではなく借りたものだ。時間を遡れば10分か15分前、