西向きのベランダ(2)
「カエル、おるやろ」
「なんのカエル?」
「親子で、背中に子が乗ってるやつ」
「ああ、あれのこと」
「あれ、ガマガエルやな」
「そう、ガマガエル」
「あれな、しゃがんで見ると子ガエルと目が合うんや」
「あそう、親とはどうなん?」
「よそ向いてる。ところがな、立って見ると、目が合うねん」
「へえ、おもろいな」
「目が合うんでな。パンちぎって乗せとくと、なくなってるんや。食うてるんかな?」
「食べてるわけないやろ。焼きもんやで。スズメや」
「スズメか。親のはしゃあないけど、子ォのはあかんやろ」
「しょうもないこと言いな。おタヌキさんおるやろ横に。あの頭の上、パンちぎって乗せるの、やめてな」
「なんで?」
「あの上乗って、フンすんねんスズメ」
「そうか。失礼なやっちゃな」
「そういう問題やないやろ」
「そうか」
「そうや」