続続続 ??????・・・
「夢見てな」
「夢?」
「そう」
「どんな夢よ?」
「いろいろ考えてたんや」
「なんのこと?」
「ほら、昨日ママンが言うてたやんか、もう一晩徹夜するか、言うて」
「そんなこと、言うたかな?」
「いや、忘れてたらそれでええんやけどな」
「忘れてるわ」
「夢でな、夢の話やで。どっかわからん田舎の道を、歩いてるんや」
「だれが?」
「だれが? って、おれに決まってるやんか」
「言わなわからんがな。それで?」
「うん、気がついたら、えらい奥深い山の中や」
「はあはあ」
「気がついたら仙人や。目の前に立ってんねん」
「仙人て、なに?」
「えッ? 仙人知らんの?」
「会うたことないもん」
「そらァ、おれかて実際は、会うたことないけど、仙人は仙人のかっこしてるんでわかるんや」
「どんなかっこよ」
「白いあごひげ生やしてな、頭はつるつるのぼうずや。それで白い浴衣みたいなを着て、杖ついてはんねや」
「おじいさんやんか」
「そやで、おじいさんやで。水戸の黄門さんが持ってはるようなあんな杖で、先っぽにサザエみたいな、くるくる巻いたもんが付いてるそんな杖や」
「杖の説明はどうでもええんとちゃうの?」
「そや。杖はどうでもええんや。いや、それが頭に残ってたからな」
「仙人とは、なんか話したん?」
「それや。おれ知らんあいだにひとりごとぶつぶつ言うてたんやろな。『なにをぶつぶつ言うておる』言われたんや」
「それで?」
「言うたんや。『実は算数の問題でどうしてもわからんことがあるんです』言うてな」
「な~んや、まだあんた、そんなこと考えてんのかいな、ひつこいな。ハハッ、それで、徹夜がどうのこうの言うてたんやな。言うたん思い出したわ」
「それでな、ヒントをあげよう、言わはんねや、仙人さん」
「ヒント? 答え、教えてくれへんの?」
「そうや。あとは自分の頭で考えェ、いうことやろな」
「なんや、たよんないな。しらんけど」
「『押してもだめなら引いてみい』言いはんねん」
「だれが?」
「だれが? って、いまおれ、だれと話してるか、言うてなかったか?」
「知ってるよ」
「そやろ。だれと話してたんかいな?」
「えーと、だれやった?」
「人の話、ほんまに・・・仙人さんや」
「そうそう、そやから仙人言うてるやろ」
「言うてな、まあええわ。押してもだめなら引いてみい、ですか? 押してもだめなら引いてみい、やろ。そしたら、怒られてもうてな」
「仙人さんによゥ」
「なんで仙人が怒るのよ」
「知らんまに、仙人さんのからだ押してたんや」
「しょうもな! それが落ちかいな」
「ちゃうちゃう。けど今日はこれくらいにしといたろ」
「しょうもな。知らんけど」