続 ??????・・・
「ママン、続きやろか」
「続きて、なんの続き?」
「続き言うたら、続きやないか」
「そやから、なんの続きなん訊いてるの」
「あ、すまんすまん、続きだけではわからんわな」
「あたりまえやろ。言うてもらわんと」
「おととい、ママンと話したあの続きや」
「どんな話した?」
「なんや、忘れた?」
「言うてくれたらわかるけど」
「そらそうや。言うてもええか?」
「ああ、言うて」
「マイナスとマイナスと掛けるとなんでプラスになるかという話、憶えてるやろ」
「ああ、あれな。憶えてるよ」
「あの続きを、やろか思て」
「続き、あんの?」
「あんの? て、まっすぐ行ってたんがウインカーも出さんと右折してしもたやろ?」
「そやったかなあ? なんでそうなったんやろ?」
「ママンがなんべんも、さざんがきゅう、さざんが9言うんで、そんな役者さんがおったでーいうて、映画の話になってしもたやんか」
「忘れたなあ」
「たよんないなあ、まあええけど。続きがあったんや」
「続けたいんやろ」
「そう」
「ええよ。今日は休みやし」
「毎日が休みやんか、ええけど」
「そやないの。日曜やいうてるの」
「話わかりやすうに言うとな」
「うん」
「おれが、ママンから100円借りるとするやろ。とするとおれは100円借りたわけやからマイナス100や。これOKやな?」
「うん、そうや」
「もう1回100円借りたら前に借りた分マイナス100円と、今回借りる分のマイナス100円、このふたつ足してマイナス200円と、こうなるわな」
「うんうん、そういうことになるんかいな」
「もう1回100円」
「待って、これどこまで行くの? ふんふん言うて訊いてたけど、マイナスになるんはわたしのほうやないの?」
「なんで? 借りてるんはおれのほうやで」
「そらそうかもしれんけど、わたしおとーさんに200円取られてるんやで。マイナス200円はわたしのほうやないの?」
「ええッ!? なんで? 待ってよ・・・」
「たよんないなあ、もう。ええから200円返して」
「おっかしいなあ。わかりやすうに話そうと思てたのに、マイナスとマイナスのかけ算どころか、足し算引き算で急ブレーキやな」
「もっとちゃーんと考えてから言うて。200円はもうええから」