続・新元号
「なにになるんやろな、新元号」
「ほんまやね」
「なにになると思う?」
「わかるわけないやろ」
「そーやけど、アタマんなかでは知らんまに考えてしまうんやな」
「おとーさん、なにか考えてんの?」
「いやいや、考えてるいうんは取り消すわ。頭文字のABCのアルファベットがなんになるか、競馬の予想みたいなことぐらいやな」
「予想してみよか?」
「そやな。明治大正昭和平成の頭文字、MTSHは最初から除外するやろ」
「というて、あとはなんでもええというわけにもいかんのとちゃう?」
「そやねん。濁音、濁りのあるやつもあかんと思うで」
「BとかGとか?」
「そうそう、そういうのを、エックスもだめやろな、除くといくつ残るのかな?」
「全部でいくつあるの?」
「たしか、26文字やと思う」
「最初からいくつかないもんとするんやったら、20くらい残るんやね」
「そうそう。予想しらべたらアン、高い安いのアンが最初の文字では一番人気らしい」
「大関高安のヤスやな」
「それそれ。けどヤスやったらYやからあかんけどな」
「そしたらAが一番人気の◎やな。対抗の〇はなんやろ?」
「栄えるの栄とか永遠の永とかやから、これもアルファベットでいやあAになるから、どっち転んでもAが断トツの一番人気やな。110円つくやろか?」
「当てたら賞金出んの?」
「出るわけないやろ。ケイバの一番人気やったらこんなもんか、100円元返しがええとこかな、それくらいAは本命やいうことやな」
「新元号とケイバと一緒にしてもええの? 怒られるやろ」
「大丈夫やと思うで。どっちも国がかんけーしてる話やからな。というようなこっちゃ。ママンの予想はAか?」
「Aにしとくわ。おとーさんどーすんの?」
「じゃ、あ、こうしよか、A以外は全部おれがもらう。そしてやな、おれのが当たったら『リューリュー』の1000円パスタランチをおれがおごる、ママンのが当たったら、おんなしもんをママンがおれにおごる、勝ったほうがおごる、これでどや?」
「ええけど、なんかわたしのほうが不利なような気ィするけどな」
「新元号が決まるんやで。お祝いやがな。うれしい話やで」
「あんまりうれしないな」