梅雨の雨の味
「梅雨入りまだやなあ?」
「どないなってんやろ? もし入りがなかったら、明けもないわけやなあ?」
「そーゆーこっちゃ。過去にはあったんやろか? 梅雨入りありまへんでした、いう年」
「調べてみたら、おとーさん」
「そやな。調べてみよか」
「どやった?」
「ないねんて。毎年デコボコはあるんやけど、梅雨入りと梅雨明けは毎年あるみたい」
「そう。なんか何十年に一回とかありそーな気もするけどな」
「梅雨入りなかった年ありますか? いう質問にな。『50億年前』いうんがあったけど『お前見たんか』ゆーて、ツッコンだな」
「ハハハ、いろんなヒトがいてんな」
「北海道は梅雨がないゆーてたやろ? いまでもそーやろか?」
「いまでもそーやろかて、調べてみたら」
「そやな」
「どやった?」
「ないねんて。いやな、異常気象とか温暖化ゆーて、北海道でもコメが穫れる時代やろ。ひょっとして梅雨、あるよーになったんとちゃうかなー思たんやけどな」
「そう、ないんや梅雨、北海道」
「さっき、50億年なんて無責任なやつがあったやろ。今度は札幌管区気象台の予報官、川村貴史さんの『あるかと言われれば、ないと答える』と断言してはるんで、なんか心強い気がすんな」
「そう。きのうも雨降ったんやけど、あの雨と梅雨で降る雨と、なんか違いがあるんやろか?」
「ほんまやな。そこに気がつかなんだけど、あるんちゃうか?」
「どんな違いや思う?」
「梅雨の雨は、ちょっとほんのちょっとやけど、酸っぱいんちゃうか? しらんけど」
「・・・・・」