「ママン、助けてくれー!」
「どないしたん?」
「ギックリ腰んなった」
「無理するからや」
「無理したつもりはないんやけどな」
「歳のことも考えな。いつまでも若い思てたら、あかんで」
「ちょ、ちょっと待って、トイレ」
「ハハハ、座頭市みたいやな」
「笑いごとやないで、イテテテ」
「大丈夫か?」
「大丈夫なわけないやろ。いっぺんに汗かくわ」
「手ェ引いたろか?」
「お里沢一やな」
「なにそれ?」
「いやいや、知らいでもええねん」
「ゆっくり行きや」
「壁伝いに行くわ」
「おとーさん」
「なに?」
「なにそれ、スパイダーマンか? あかん。笑うの、ガマンでけんわ」