東野英治郎の水戸黄門シリーズを観るー2
「月形龍之介が出てたんもびっくりしたけど、志村喬が出てたんもいろいろ思うことがあっておもろかったな」
「なにが?」
「そやったかなあ?」
「気がつかへんかもしれんけど、出てんねん」
「『七人の侍』いうたら古い映画やろ」
「昭和29年封切りやからおれがここのつ、ママンがななつのころや」
「どこで出てた?」
「時代は戦国時代や。子どもを人質にした盗っ人が小屋に立て籠もってるところで、いまは浪々の身やけどという侍の志村喬がたまたま通りかかってな、盗っ人から子どもを取りもどすいうシーンやけど、その盗っ人役が東野英治郎と、そういうわけや」
「憶えてるわ。あの人がそうなん?」
「そういうこと」
「えらい出世やな」
「盗っ人から天下の副将軍やからな、たしかにえらい出世や」
「撮影の合間なんかにそのころの話なんかしはるんやろか?」
「そうやなあ、どうなんやろ? 先週やったかな、津島恵子が出てたんにも驚いたな。別に女優さんやから、出はるんは別に不思議やないけど、『七人の侍』のときは別にからみはなかったんで共通の話題はないんやろけど、それでも『あのころは』いう話になるんやないか、勝手にそんなこと想像してしまうんやな」
「けど昔の黄門さん、けっこうええ役者さん出てはるよ」
「はあ、昔のな。映画からテレビの時代になったからな。まだ映画で活躍してた人達の仕事が少のうなって、映画やったら最初に名前の出るような人がテレビではゲスト出演者になったり、へええ、あの俳優さんがと思うような人が悪役やってはって、黄門さんに『言語道断、恥を知りなさい!』なんて言われてはるんを観ると、なんか、ほんまかいな、思てしまうな。しゃあないけど」
「時代やからなあ、しらんけど」