不敬にも上皇后に似てた母
「見て見て、おとーさん、美智子様、ピアノ弾いてはるよ。横顔、おかあさんに似てるんと違う?」
「シーッ、大きな声で言うたらあかん。捕まるで」
「わけのわからんこと言いな、おとーさん。いつの世の中の話してんの」
「大正時代生まれのおれには、トラウマとして染みついてるんや」
「冗談ばっかり言うて。乳がんの手術しはるて聞いたけど、まだなんかな」
「近々と違うかな。けど髪の毛、真っ白になりはったな。上皇后様になりはったわけやけど、おれとかママンとかの年代には、やっぱり美智子妃殿下がいちばんぴったりするな」
「そうやね。美智子妃殿下やね、やっぱり」
「さっき、おっかさんに似てる、言うたやろ」
「言うたよ。似てるやろ」
「まあ正直言うて、それとなくそう思てるよ。人には言わんけどな。けどほんま言うたら、もう死んでもうたけど、おっかさんのほうがだいぶん歳上やからな。おっかさんのほうに似てはるいうんがほんまやで。人には言わんけどな」
「人には言わんけどいうて、ブログ書いてたらわかってしまうやないの。言うてることがわからんわ」
「ああ、それやったら心配ない。よっぽど物好きの人か、変わりもんの人しか、おれの書いたやつ見る人おらへん」
「いっぺん、炎上させたろ、いう気はないの」
「ないな。世間を炎上させるまえに、自分の炎上が間近やのに」