朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

落語『蜘蛛の糸』-35

 そんななか、100年に一度開かれという、天国と極楽合同の賢人会議が催される日がやってまいりました。

 この噺をお聞きになってる皆様のなかには「天国と極楽は、一緒とちゃうん?」とお思いの方もおいでやないかと思うんですが、そうやないんでございます。これはお噺のなかでおいおいおわかり戴けるようになっております。

 この天国・極楽合同の賢人会議は、お釈迦様の誕生日であります4月8日、そしてもうお一人はイエス・キリストの生誕日、12月25日を基に100年ごと、交互に場所を決め開催するという仕組みになっておるのでございます。会議の期間を何日間にするかはその時々の気分次第という、良く言えばおおらか、悪く言えばいい加減、まあ、あってないようなもので、これが天上界なのでございます。

 今回はその集いは極楽会の番で、極楽界では、お釈迦様の誕生日である4月8日に向けて粛々とその準備が進んでおります。

 100年に一度ということですから、このときばかりは飲めや唄えのドンチャン騒ぎも大目に見られという、無礼講なのでございます。

 そういうわけで、いつもならめったに顔を拝めない極楽会の会長お釈迦様は、シャーさん、天国会のCEOキリストは、キーやんと呼ばれという和気あいあいの集いなのでございます。

 賢人会議と申しますとわたしども人間界にも存在いたしまして、今回はこの国、次はあの国でと、世界の国々のどこかでちょくちょく開催されておりますが、「賢人会議」という名称はどこのどなたが命名されたのか、あるいは会議に集う各国のかたがたのどなたかがリーダーシップをとって「それぞれの国の重要人物、つまり賢人が集う場だから賢人会議ではどやろ?」と命名されたのか、それは愚人のわたしには理解不能で、自分たちのことを「賢人」と称しておおきな顔でおられる神経は、やはり、賢人に違いないと妙に感心する今日このごろ、熊本県人のわたくしでございます。

 さていよいよ、お釈迦様の誕生日である4月8日当日となったのでございます。極楽の催し会場には天上界のいたるところから神様、ほとけ様、生前尊敬を集めた偉人、賢人が続続と集まって参ります。その人数はと申しますと、おおまかに申しまして1億3千800万。現在の日本の総人口よりも多い・・・いやこれはデタラメを申しておるわけではございません。この狭い国土の日本にさえヤオヨロズと申しまして、800万の神様がおいでになります。そのなかには皆様よくご存じの弁天さんや布袋さんでお馴染みの七福神や、えー!それも入るの? という、貧乏神、疫病神、死に神といった方々も含まれて、驚くにはあたらいのでございます。

 これで仏様は別勘定でございますから、地球的規模で申しますと、1億3千800万は決して途方もない数字ではないのでございます。

 さてこのドンチャン騒ぎOK無礼講の賢人会議、食べ物飲み物はすべて各自の持ち寄りという決まりでございます。

 一番乗りのお方が、遠く、望遠鏡の丸い輪の中に見えてまいりました。(つづく)