朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

落語『蜘蛛の糸』-43

 ・・・さて、天国・極楽合同賢人会議にお集まりの方々のご紹介も、このおふたりのご紹介をもって最後でございます。おひとりはすでにお噺でご紹介しております、ご存じお釈迦様。もうおひと方は天国会の会長でございます、イエス・キリスト様、この方のご紹介から始めたいと思います。

 12名の使徒をを従えここまでの長い道のりを歩いてお越しになります。このキリストという偉いお方は、どんな無理難題をお願いしても一切お断りなさらず、微笑みを浮かべて「イエス」とお聞き届けになる。いやいや、そうではないんです、と昨日の落語会で申し上げようとしたところが、あるお客様からお手が挙りまして、

「なんでや。イエス・キリストいうやないか。イエスいうんは英語で『ハイ』いうんやろが。それくらいのイングリッシュ、オレかて知ってるワイ、バカにすな!」

 そうおっしゃって叱られたんでございますが、まあ、本日お越しのお客様はもうよくご存じのことやと思いますが、イエスいうんは「救世主」という意味らしいですな。わたしもつい最近知ったんでございますが。

 さて、キリスト様を先頭に12名の使徒の皆さん、それぞれ左手にパン、右手に甕に入ったワインをお持ちでございます。キリスト様のお話によりますとパンは身体を表しワインは血を表すとのことで、それを貧しく恵まれない人々と分かち合うという・・・ハテどこか聞いたようなと、お思いの方もいらっしゃるのではと、アニメで人気のアンパンマンがそうですな。腹が減ってる人に自分の頭やホッペタを囓らせるという、キリスト様はアンパンマンの元祖というわけで・・・

 さて、もうひと方はすでに出演済みでございますが、極楽会の会長、お釈迦様でございます。落語に喩えますとトリもトリ、大トリの金看板、圓生文楽志ん生といったところで「・・・んーーん、なんですな。このォー、ヨシワラというところは」なんて言うてる場合ではございませんで、

 お釈迦様、お生まれは現在のインドでございます。インドといえば動物ではゾウ、ウシもおります。それにトラ。もうひとつインドと聞いてすぐ思い浮かびますのが? 有り難うございます。おっしゃいます通り、カレーですな。別にハウス食品のまわし者ではございませんのでご容赦を戴きまして・・・

 インドで、神の使いと申しますのは白象、白い象でございます。この象の背には輿が載せられ、色とりどりの絹織物が天蓋から白象の背まで垂れて爽やかな4月の風に揺れております。お釈迦様はその輿にゆったりとお座りになって、象の背の揺れに合わせて前後に身体を揺らせておいでになります。会場を埋め尽くした群衆が手を振ってお釈迦様をお迎えします。(つづく)