朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

落語『蜘蛛の糸』ー47

 100年に一度開催されるという天国・極楽合同賢人会議の開催を宣言なさいましたお釈迦様、この集いを心からお喜びになっていらっしゃるはず・・・・ではございませんで、お顔にどこか憂いの影が射しております。その憂いのために、くったくなく騒ぎの輪の中に入ることがおできになりません。これはもう申し上げるまでもないことですが、やはり例の一件、いまはもうカッパとなって現世にいる芥川龍之介という小説家によって書かれた『蜘蛛の糸』という小説のことが憂いの種なのでございます。

 悩みからの解放という意味も含めて、初心に還る決心をなさって剃髪、あのトレードマークのパンチパーマからきれいさっぱりお別れになって青青クリクリの一休さん頭になられたお釈迦様ではございます。しかし、煩悩という苦しみはお釈迦様ほどのお方でもそうやすやすと解脱は困難なのかもわかりません。

 とは申しましても心やさしいお釈迦様のこと、このめでたい集いの、参加者の面々に心配をかけることを心配なさって、そのことは心にお納めになり、いつものようにおだやかな微笑みを頬にたたえて、談笑の輪のなかに混じっていらっしゃるという、どこまでも心やさしいお釈迦様でございます。そうして、イエス・キリストが超大型牽引車で運んでまいりましたキャルフォーニャ産のフルーティな赤ワインの入ったグラスを左手に、爪楊枝を右手にこれが一番と、青カビチーズ「ゴルゴンゾーラ」の一切れに刺して口に運んでおいででございます。

 しかし、お釈迦様といえども、心の影はふとした弾みに顔やそのお姿に現れるものでございます。お笑いになったときのくちびるの端、顔の中でもほとんど表情がないといわれるおでこの左半分に薄く刷いたような影が射します。

 それに目敏く気づきましたのが、真っ赤なポルシェ・パナメラターボS Eハイブリッドエグゼグティブのオープンカーでやってまいりました七福神のおひとり弁財天、弁天さんでございます。

 この弁天様、100年前のこの賢人会議へおいでになるときは他の6福神と一緒に宝船に乗っておいでになっていたのですが、女性友達のテンテルちゃん、テンテルちゃんとはアマテラスオオミノカミ様の愛称で、弁天嬢はそう呼んでいるのですが、テンテルちゃんにここだけの話として打ち明けましたのが、他の6福神の・・・はっきり申しますと陰口でございます。

 たしかに無理もないことで、福の神とは申せ6名は男ばかり、それも後期高齢者で加齢臭プンプン、話題といえばあそこが痛いここが悪い、なんとか肥大で出が悪い、そうかと思えば口を揃えて年金のグチ・・・いえいえこれは口が滑ってしまいました。えべっさん大黒様に年金など必要ございません。年金はわたしのグチでございました。

 おまけに、何かといえばやらしい目つき手つきでアタシのからだにべたべたと、というようなわけで弁天様、赤いポルシェでの別行動になったとのことでございます。(つづく)