朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

落語『蜘蛛の糸』-42

 天国在住のエイブラハム・リンカーンと申しますと、アメリカ16代大統領でございますが、100年に1度開催されます天国・極楽の合同賢人会議にこの方も参加されるのでございます。

 催し会場へは、この方の運転する超大型牽引車で登場、後方には、これまた超大型のコンテナが連なり、その長さは38キロメートルにも及んでいるという・・・そのコンテナにはさまざまの食料食材が満載されております。この合同賢人会議、当地で消費されます食料はすべて各自持ち寄りとなっておりますので、必然このようなことになるのでございます。

 このリンカーン氏運転のトラックに同乗してまいりましたのが自由の女神嬢と黄鬼のキー子のふたりでございます。黄鬼のキー子と申しますのは、最初は閻魔大王の秘書を務めておったのでございますが、あまりに甲高い声の持ち主ということでクビになり、そのあと縁あってお釈迦様の秘書として採用されるという、地獄から一気に極楽へという超ラッキーな娘さんで、各国語はすぐに覚えられるという特殊才能の持ち主でございます。お釈迦様のところでそのことを知った閻魔大王は、今以て、クビにしたことを後悔して、未練たらたらなのでございます。

 まだふたりが知り合う以前のこと、自由の女神嬢からお釈迦様へ電話があったとき、その受話器を取ったのが秘書のキー子でございます。これが縁でふたりは大の仲良しになり、女神嬢からお釈迦様へどんな用事の電話だったかはどうでもよくなり、ふたりは意気投合したというわけでございます。

 そんなわけで、ニューヨークのトランプタワーに住んでおります女神嬢のところへ遊びに行っていたキー子が、久々に極楽へ帰ってきたという。極楽では頭に生えております2本のツノをツノ隠しで覆い、見えないようにしていたのですが、この度の帰国ではツノ隠しをとっぱらって、堂々と誇示するようにツノを出して歩いているのでございます。と申しますのは、自由の女神嬢のヘアバンドにある7本のツノの影響で、ツノというコンプレックスを克服、キー子はそれにより一層女神嬢に親近感を覚え、本当のあねいもうと以上の親しい仲になったのでございます。

 ニューヨーク滞在中に初めて口にしたソフトクリーム、そのあまりの美味しさにキー子は、3度の食事はいうに及ばず、食前食後また夜食にとソフトクリームのとりこに、眠っている時間も夢に見ようかというはまりようで、手からコーンが離れる間があればこそのフアンになったのでございます。

 女神嬢にいたしましても、心強い同好の士が現れたとばかり、それをいいことにふたりして競うようにソフトクリームをなめまくります。これではふたりとも、エネルギーの摂取と消費のバランスが麻痺するのは当然のことで、みるみる風船がふくらむようにマツコデラックス姉妹ができあがった、というわけでございます。(つづく)