2種類
「2種類おるやろ?」
「2種類?」
「そう2種類」
「なんの話よ?」
「なんの話て、『あれなんのこと?』と思わすんが、おれがブログ書くときのテクニック、パターンやないか。ピンピーンとこんか」
「なにがピンピーンよ。おとーさんがブログ書くときのことまで、なんでわたしが付き合わなならんの」
「ママン、夫婦は相身互いいうやろ」
「かってなこと言いな」
「いやいや、ママンはどっちのタイプやと、訊いてるんやけどな」
「そやから、なんの話よ」
「人間の話」
「人間の話?」
「そう人間の話」
「人間がどないしたん?」
「だから2種類おるやろという話」
「2種類てどんな2種類?」
「おおざっぱに言うての話やけどな。たとえばやな。『私は絶対、オレオレ詐欺に欺されへん』、欺される人の気がしれへんというのと、『いやいや、おれかて気ィつけんとヤバいで』という、この2種類」
「あ、その2種類な。わからんわけやないけど、わたしは絶対欺されへん。おカネの話でたら、ピンピーンとくるからな。おとーさん知ってるやろ」
「ああ、知ってる。たしかにピンピーンとくるな」
「言うてもあかんで」
「ああ、もう言わへん。チカンするやつおるやろ?」
「なんやの急に」
「いや、もう話移ってんねん」
「なにそれ」
「電車のなかとか、階段の下から撮すとか、トイレのなかに仕掛けてるとか、あれなんやろな?」
「なんやろなて、なにが訊きたいの?」
「いやいや、ママンは絶対そんなことせえへんわなあ。自信ある?」
「当たり前やん。そんなんに育てられてないわ」
「そらそうや。おとーちゃんおかーちゃんに顔向けでけへんもんな」
「そらそうや。なんやのん、おとーさんは自信ないの?」
「そやねん。おれもいつあんなんで捕まるかもしれん、やらん自信ない」
「こわいこと言いな。頼むで」
「まあ、大丈夫や思うけど。けど、あんなえらい、へええ思う立場の人がやってるやろ。考えられへん。あんなことで一生を棒に振るなんて、わけわからん、そう思うと『おれかてわからん』自信のうなるんや」
「頼むで。子供も、わたしも、おるんやで」
「わかった」