昭和世代と平成世代
「ゆうべのテレビ観た?」
「なに? なんのテレビ?」
「ハマダが司会してたやつ」
「ワダアッコやなんか出てたやつ?」
「そうそう、あれあれ」
「観てたよ」
「おれも観てた」
「おれも観てたておとーさん、一緒に観てたやないの」
「そやったかな?」
「そやったかなって、1台しかないよテレビ」
「ということは、ということか?」
「ぼーッと生きてんじゃねーよ! 言うて、チコちゃんに叱られんで」
「カツブシの材料が木を削ったもんや言うた平成女子の答えがおもろかったな」
「似てないこともないからね」
「そうそう、かんなくずとそっくりやさかいな。あの子が、かんなくず知ってたかどうかは別やけど」
「太陽がどっちから昇ってどっちへ沈むかいう問題も笑たね」
「ああ、笑た笑た。西から昇って東へ沈む、いうやつな」
「天才バカボンの唄がそうやから、そう言うてたよ」
「ハハハ、あんなんで覚えて、ほんまや思うんやから、考えてみたら怖いよな」
「なにが怖いの?」
「他人事やないいうことやけどな。おれらかて、トンチンカンなこと覚えて、ほんまや思てること、ないとは限らんからな」
「そらそうかもわからんけど、普通の常識的な問題やさかいな」
「昭和世代にとっては常識問題でも、平成生まれにも常識とは限らんからな」
「ほんまほんま、いまの子、公衆電話ようかけへん言うもんな」
「ママンとかおれかて、スマホよう使われんのと一緒や。笑われへん」
「カツオ節がどうしてできるとか、太陽がどっちから昇ってどっちへ沈むなんて、別に知ってなくてもどってことないからね。しらんけど」
「そうや。王さんがホームランの世界新記録持ってるいうて、一本足で構えてる写真みせて、『これがだれか、そんなことも知らんのか!』言うたところで、いまの子ォらにとって、それがなに? いうことやもんな」
「そうや、笑われへん」
「明治どころか、昭和も遠くなりにけり、やな」
「寝よか?」
「寝よ寝よ」