タイガース勝った?
「おとーさん、タイガース勝った?」
「負けた」
「なんたいなん?」
「ちょっと待ってよ。10対2」
「ジュッタイニ? なにしてるんやろ、ほんまに」
「甲子園やからな。大騒ぎやで」
「ほんまやで。矢野に代わっても、アカンか」
「開幕してからの2試合、勝ったからな。オオッ! と思たんやけどな、あとがな」
「いま何勝何敗?」
「えーとな。5勝9敗。5位やな」
「ドンケツ?」
「いや、ドンケツやない。ドンケツは広島や」
「広島いうたら、去年優勝したんちゃうの?」
「まあな。まだ始まったばかりやからな。チーム力はあるからな」
「タイガースはどーなん?」
「まあ、広島とはちゃうからな。余裕ないんとちゃうか」
「梅ちゃん、なんかえらいことやったらしいな」
「ああ、サイクルヒットやろ?」
「あれ、サイクルヒット言うの?」
「そうや、ホームランやろ、1塁打2塁打3塁打と、ひと試合でやるんがサイクルヒットや」
「そんなにうまいこといかんわなー」
「ヒット1本打つのもそう簡単やないからな」
「張本、『あっぱれ!』言うてたな」
「そう、テレビ観てなかったから」
「ゲストで出てた、柔道の『昭和の三四郎』、だれやったかな? ・・野村さんや、この人も司会者の、だれやったかな?・・」
「あの人やんか、あの人のダンナさん、『アカシヤの雨がやむとき~』のあの歌手と結婚した人、息子は世界中回ってるやろ、列車の旅やいうて」
「そう、その人やけどな、名前が出てこん、その人にな、あれッ? だれやったかな? 柔道の人・・・忘れたわ、この人に『野村さん』そうや野村や、『あなたもアッパレ! 出しますか?』言うてたな」
「今日はあるん?」
「タイガース?」
「そう」
「デーゲームやからな。テレビでやるやろ。観るか?」
「ほかに観るもんなかったら、観るわ」