朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

すごいよなあ!

「すごいよなあ」

「なにが?」

「あの高飛び込みの男の子。テレビで観たやろ?」

「観た観た。何歳言うてた?」

「12歳」

「12歳! 大人に混じって優勝したんやろ? すごいねー!」

「すごいよなー。中学1年生やで。表彰台で優勝やから真ん中に立つやろ、背の高さがこんなんでこんなんやろ。本人もそうやけど、2位3位の大の大人がどない顔してええか困ったやろな。じぶんらも必死に練習して出てきたわけやからな」

「たしか関西の子やったね?」

「宝塚の出身や。玉井陸斗くん。名前は陸で斗うやけど、水やから水斗やな」

「しょうもないこといいな」

「けどなんやしら、若い人というより子供の大活躍が目立つようになったな。陸斗くんもそうやけど、囲碁の女の子菫ちゃんが10歳やろ。これでプロの棋士やで。なんぼ稼ぐんやろ」

「いやらしいこと言いな。けど気になるな」

「そやろ、気になるやろ。きのうやったかおとといやったか、これまた16歳のらんちゃんと対戦したんやけど、らんちゃんもやりにくかったやろなと思うな」

「そらあ大変やろね。あれだけのマスコミが詰めかけて、テレビカメラやなんかで覗かれてたらやりにくかったやろ思うわ、知らんけど」

「そやろと思う。それにマスコミはたいがい、菫ちゃんに勝ってもろたほうが画的にはええやろからな」

「らんちゃんも、これが大人との対戦やったら、自分がメーンの立場におれるんやけど、6歳も歳下やからな」

「ほんまや。将来はどないなるんやろ?」

「子供の潜在能力ちゅうんはすごいよな。おれらの子供のころは、世間がまだ、子供の持ってるすごさに気づいてなかったんやろな。いまは子供の持ってる能力に気づいて、できるだけ伸ばしてやろういうふうになったんや」

「子供がみながみなそういうわけにはいかんのやろけど、卓球のあの子、もう引退して結婚したやろ台湾の選手と、名前なんやったかいな」

「あいちゃんか、福原愛やな」

「そうそう、あいちゃんあいちゃん。子供ふたりめが出来たんやてなあ、あの子。テレビで、まだこんなにちっちゃい子が泣きながらやってたんをなんべんも観たけど、負けず嫌いがすごかったらしいね」

「親がひどいことする、思てたけど、あれ、将棋の藤井くんにしても、卓球の張本くんにしても、またあの子、囲碁の菫ちゃんにしても、えらい負けず嫌いらしいな」

「そのくらいやないとあかんのやろね。宝塚の子もトレーニングやってるとこテレビで映してたけど、ハンパやなかったよ」

「そやな、ハンパやなかったな。おれなんか負けず嫌いの反対で、どっちかいうと負け好きやからな。トラックで仕事してたときも『お先にどうぞ』やったからな」

「あかんわ。知ってたら考えたのに」

「笑われへんか?」

「笑われへんな」