ママン、なんで起こしてくれんかったん!
「ママン、なんで起こしてくれんかったん! テレビと一緒にカウントダウンしたかったんや」
「よー言うわ。よー寝てたよ、大っきなクチ開けてェ、よだれ垂らして。よっぽど起こそか思たんやけど、寝かしとこ思たんやないの。なにも言うてなかったやろ。ひとこと『寝てたら、起こしてな』言うてくれたら、起こしたったのに」
「つめたいなあ。おれがイチビリやいうこと知ってるやろ。起こさな」
「知ってるよ。けどしゃーないやないの、寝てもうたんやから」
「なあ、しゃーないわな。あきらめたろ。カウントダウン、どんなんやってた?」
「カウントダウンどんなんやってたて? カウントダウンいうたらどこも一緒やないの。どこのんか知らんけど大きな時計に合わせて大勢の人が5、4、3、2、1、言うて、あとはバンザーイ! バンザーイ! 言うたり、どこかではビールのジョッキで乾杯したり、そんなん映ってたけど、そういえば、花火もあがってたわ」
「観たかったなー。おれも参加したかったなー。ええなあ、ママンは。次の新元号までとても待たれへんわ、歳やさかい」
「そないなこと言わんと、がんばり! おとーさんやったらやれる。しつこいんやから」