朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

遅い! 遅すぎる!

「アカンなあ」

「なにがアカンの?」

「アカンわ」

「なんやのん、アカンアカンて」

「気づくのが遅すぎたいうことや」

「なんのハナシ」

「もう片足、いやいやそれ以上かもしれん、カンオケに突っ込んどるからな」

「またおとーさん得意のややこしいハナシやな。かなんでほんまに」

「いまごろになって、自分のバカさ加減に気づいた、なんやこれは他人事ちゃうで、自分事やで、ちゅうハナシやな」

「いまごろになってて、それやったらそれまでは、自分のことカシコイ思てたいうこと?」

「いやいや、セイジ家やないからな。そこまでは厚かましない」

「けどそうなるんちゃう?」

「フツウや思てたんや普通。カシコイとは思てないけど、まあまあふつーやろと、そう思て自分を甘やかしてたんやな。けどその実態はや。アホ、バカやったと気づいた、いうこっちゃ」

「わたしなんか、前から気づいてたよ」

「自分のこと?」

「なに言うてんの。おとーさんのことやないの」

「気づいてたんかいな。それやったらそうと、もっと前、若いうちになんで言うてくれんかったんや」

「言うてわかる人か? そやないやろ?」

「ごもっとも。おっしゃるとおり。ひらにごよーしゃ。ほかにないか?」

「なんでそないなこと思うよーになったん?」

「先のことは、自分の身の始末をどーするかだけ考えてりゃええんで、ついつい溜まりに溜まってる過去のことを考えることがおーなって、それで気づいたんや。自分のバカさ加減に」

「気がついただけでもエライやんか。気がつかん人もよーけおるんと違う? 知らんけど」

「なんや、ホメてもろたんかなぐさめてもろたんかわからんけど、うれしい・・・やのうて気恥ずかしいな」

「ハハハ、気恥ずかしいやて。おとーさん、自分のトシ考えや。ジュウハチの娘やないでおとーさん。ハハハ、気恥ずかしいなんて長いこと聞いたことなかったわ」