(懐かしき)エコノミックアニマル
「考えてみりゃあ、もうずいぶんムカシのハナシになるけどな」
「なに? なんのこと?」
「ニッポンが経済成長いうんで、右肩上がり元気よかったころからもう50年、半世紀過ぎたなんて考えられんな」
「もうそんなになるん。ほんまかいな思うけど、ほんまなんやなあ」
「当時のニッポン人はエコノミックアニマル言われて、人間やないアニマルやからな。評判ええことなかったんや」
「そう。わたしはあんまり憶えてないな」
「まあ、おれも似たよーなもんやけどな。けど最近になって、このエコノミックアニマルがおれのアタマん中でまだ生きてたいうんがわかったんや」
「なにかあったん?」
「大統領来たやろアメリカの」
「ああ、トランプ大統領」
「そう、トランプ大統領」
「トランプ大統領やろ? それがなに?」
「この人見て思い出したいうこっちゃ、エコノミックアニマル」
「商売いうんか駆け引きいうんか、うまいからなあ。アベさん大丈夫かいな?」
「どーなるかわからんけど、もともと商売人やからな。それが大統領になったんやからもう、アニマルどころかモンスターやな。ニッポンもアニマルや言われて笑いモンにならんためにはモンスターにならんとアカンのやろ」
「またいろいろ買わされるんやろね。知らんけど」
「そらあしゃーないんやろな。知らんけど」
「けど考えてみたら笑うで。来てもらうのになんとかの100倍言うて汗かいて来てもろうて、おもてなしとかいうて、セーイッパイのおべんちゃら使うて、その上、あっちのもんをあれこれ買わないかんやなんて、ショウバイのセオリーからいうたらおかしいいん・・・しゃーないか、巻かれんと。知らんけど」
「おとーさんが考えることとちゃう。わたしかて考えんよーにしてるのに」