テレビ中毒患者の弁
「昼のテレビ観てたら嗤うな」
「なんか可笑しいやつやってた?」
「いやべつに、喜劇やってたいう意味やないけどな」
「なにが可笑しいの?」
「どこのテレビ局も昨日までは吉本芸人の闇営業問題にハゲタカみたいに首つっこんであーでもないこーでもないと、いかにも自分がまともな考えの持ち主でございみたいに、あれ、なんていうんかな、コメンテーターか、それに司会者、あれなんやねんえッらそーに。ほんまに嗤てしまうな。ところが今日になると昨日までのバカ騒ぎは『そんなんあったん? 知りまへんなあ』みたいに見事にとぼけやがって、今日は、あのナントカいうヌケサク国会議員が辞めもせんとボーナスもろたいうて大騒ぎや」
「しゃーないやろ? 言われても」
「そらしゃーないやろ。けどあいつがボーナスもろたいう目先のことばかりよってたかって取り上げて、一個も身にならん時間つぶしで『時間です。ハイ、サイナラ』は可笑しいんちゃうか」
「おとーさん、テレビになにが言いたいの?」
「いや、わかってんねんで。おれも現場の仕事ばっかりやってきて、いまでもそーやけど、現場は『こんなくだらんことばっかり、いやや! テレビやったら、もっと言うたりしたりせにゃいかんことあるやろ』思て上に言うても、なーんでか知らん、『黙って言うとーりせー』や。アホらしいけど、世の中ひっくりかえすほどのチカラはないし、しゃあない、メシも食ていかんならん。なーんか知らんけど」
「それやったら、しゃーないやろ。いややったらテレビ、観らんかったらえーやん」
「それができるくらいやったら、ママンにこんなこと言わへんて」
「そやろ。おとーさんは、テレビがないと息もでけんシトやからな、知らんけど」
「テレビ観られんかったら、ブログも書かれへんやんか」
「ブログ? もう、やめとき。なーんの役にも立たんのに」