朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

コマーシャルにいちゃもんを!

「なんやねんあれ、むちゃくちゃやな」

「なんのこと?」

「あのコマーシャルや。意味がわからん。ほら、見てごらん。画面の横にアリみたいな字で、『個人の感想です』いうて断りの文字が出てるやろ。出すんやったらおれみたいなモーロクジジイが見てもわかるよーなおっきな字で出さんかい! ちゅんねや」

「おとーさんえらい怒っててんねんな」

「あッたりまえや。テレビなんかでしょっちゅう見るよーな和食の達人とか、どこそこでゆーめいな店やレストランなんかをやってるその道のプロに出てもろーて、インスタントの味噌汁やら野菜ジュースやら、ぼた餅に砂糖かけたよーな歯の浮くよーな宣伝文句言わしといて、なァーにが『個人の感想です』や」

「そないいうても、個人には違いないやろ」

「そらそうや。違いないよ。個人の感想いうんやったら、おれを出せ! いうねん。いっこも世間に名の知られてない、どころか地面深うに潜ったままのおれを、出せ!ちゅうねん」

「おとーさん。別に買うつもりはないんやろ? 買うんやったらえーけど、買わんのやったらどーでもええんと違う。知らんけど」

「そーはイカンわ。返すカタナでもうひと太刀や」

「まだあんの? アカンで、血圧」

「おれ低血圧やからな。たまには上げんとアカンねや」

「あーそーですか。勝手に吠えたらえーわ」

「これもみそ汁やけど永谷園のみそ汁のコマーシャル、あれなんやねん! 若いおかーちゃんが男の子ふたりに『ヒジ!』言うて、いかにも行儀が大事みたいに子供脅して言うてるやろ。愛情のこもったような手作りでもなんでもない、お湯かけただけの簡単な手抜きみそ汁子供に食わしといて、なーにが『ヒジ!』やねん。子供の表情見てみーな、ふたりとも後ろのけぞっておびえてるやないか。『バカにすなー!』いうねん。よーもあないな無神経なコマーシャルこしらえたな、思うな」

「おとーさん、ぼやきマンザイか」

「おれは、謝らへんで」

「勝手にしー!」