續續 音読のススメ
「読み書きソロバンて、知ってるやろ?」
「知ってるよ。読むこと、書くこと、ソロバンいうたら計算が出来る、いうことやろ」
「そーそー、そーゆーこと。この3つさえ身につけてたら、オトナんなっても、なんとか世の中渡っていけるゥゆーことやな」
「けど最近、これも怪しーになってきたん、自覚するわ。ろーか現象ゆーんはわかってるけど、若いときはこないなるとは思いもせなんだけど、なってみると、なるもんやな。なんとかならんのかいな」
「若いときみたいになるんは無理やけど、なんとかなるゆーんは、ないでもないな」
「クスリかなんかのむの?」
「いや、そんなんやない。カネもかからへん、えーほーほーがあんねん。これおれが自分でやって気づいたもんやけどな」
「カネかからんゆーんがえーな。どないすんの?」
「本とか新聞、つまり活字を読むんや」
「それやったら、読んでるよ。たくさんやないけど」
「目だけやろ、読んでるんは。大事なんは声に出すゆーことやねん」
「それだけでえーの?」
「それだけでえーねん」
「目だけで読んでると知らん漢字があったり、読み間違えても誤魔化して、すーッと通り過ぎてしまうやろ? ところが声に出すと誤魔化しがきかん、これがえーねん」
「そーかな? わかるよーな気ーもするけど、そんなんでボケに効くんやろか?」
「やってみたらわかる思うで。最初はゆっくりでえーんや。つっかえたり、読み間違えたりいろいろやけど、イヤんならんとそれ続けてると、かならずスラスラ読めるよーになるし、それまた続けてると、書いてあることを、読みっぱなしやのーて、自分のアタマで考えられるよーになるんや」
「ほんまに? そないにアタマの体操になんの?」
「ウソ言わへん。それとな、自分の声を自分の耳で聴くゆーんもなんかえーよーな気ィするわ」
「これまでおとーさんのゆーこと聴いて、だいぶ損したけど、これカネがかからんゆーんはえーな。ダマされたつもりでやってみるわ」