どー考えてもわからん (ツー)
「ママン、教えて」
「教えてて、なにを?」
「イノチがないもんは知らんけど、イノチのあるもんは遅かれ早かれいつかは死ぬやろ」
「そーや。しゃーない」
「どーせ死ぬんやったら、産まれんかったらえーちゅうもんやけど、なんで産まれてくるか? いうことが知りたいんや」
「わたしにわかるわけないやろ。考えたこともないわ」
「そーか、考えたこともないか。どや、これから考えて、はーあ、そーゆーことかゆーんがわかったら、教えてくれるか」
「いややわ。おとーさんが考えたらえーねやないの」
「わからんから訊いてねんや。これでもけっこー考えたんやで」
「それでわからなんだら、パソコンで調べたらえーやん。いろいろ載ってるんやろ?」
「調べたけどもーひとつ納得でけへん。ママンやったらなんか思わんよーな答えが出るかー思て訊いたんやけど、もーいっぺん、考えてみる気ィないか」
「ないない。せっかくケツアツ落ち着いててるのに、えーかげんにしーや」
「そーか、ケツアツがあったな。ゴメンゴメン」
「おとーさん」
「なに?」
「本能とちゃう?」
「本能か。いやおれもそれ考えたんや。けど、本能てなんやろ? 考えたら、本能てなんやろ? ママン、本能てなに?」
「本能は本能やないの。それ以上考えよーするからよけーわからんよーになるんやないの。てきとーなとこで止めとかんと、アタマおかしーなるで」