頑張れ負けるな 吉本の社長
「かわいそうになー」
「だれ、かわいそーて?」
「吉本の社長」
「仕方ないやろ」
「そー。仕方ない」
「そしたらかわいそーなことないやん」
「そーや。ないけどな。けど、かわいそーや」
「おとーさんのゆーてる意味がわからん」
「よってたかってな、かんけーのないよーなやつまでテレビで、好き勝手なことゆーてるやろ。マスコミちゅー世界がなんとまーヒンがないちゅーか、墜ちたもんをよってたかって叩く、あいつらなーんの責任ないからな。安全地帯におってワレワレはセイギノミカタ、叩いてどこが悪い、そない思ーてはるんやろな」
「そないゆーてもおとーさん、ミヤサコとリョウクンのテレビ観たやろ? しゃーないやん」
「しゃーないよ。しゃーないけど、そないにおまえらがよってたかってワーワーゆーことか、とおれは思うんや。ちょこちょこテレビで社長の会見観たけど、重箱の隅つっつくみたいに、あれな、おれに言わせりゃ、もてあそんでるゆーんか、嬲ってるゆーんか、腹の底では、上目遣いに手で口を押さえて『ヒヒヒ』と嗤うてるよーな気がして仕方ないんや」
「そらおとーさん、おとーさんがそないな意地の悪いこと思うんやったら、おとーさんもおんなじ人間ゆーことやないの」
「そーや。あいつらのことは訊いたわけやないから、おれがゆーてるんは的外れかもしれんけど、あいつらが反対に、社長みたいにあの場に引っ張りだされてネチネチ、嬲りもんにされたら、どない思うやろかなー思うんや」
「そやさかいゆーてるやろ。あんなんもしゃーないことや、ゆーて。自業自得、身から出た錆や。しばらくのしんぼーや、社長やろ、ガマンせな」
「さすがママン、一件落着、大岡越前やな。けどおれはゆーで。頑張れ負けるな、吉本の社長」