鎖国する?
「打つ手、ないみたいやな」
「何の話?」
「いやあ、日韓問題。昨日もテレビ観てたけど、プロの人が三人出てはってあーでもないこーでもない言うてはったけど、話が一向に弾まん。どや? 言うたら、静観する以外ない、ちゅうのがお湯のなかで屁をこいたみたいな結論やったんや」
「プロの人でも手に負えんのやったら、おとーさんがなんぼ考えたところで、ブクブクとも言わんな」
「そうや。湯のなかでこいても、なーんも上がって来ん」
「それやったらこの話、おしまいにしよか」
「ひとつだけ言いたいことあるんやけど、聴く?」
「聴く? 聴くやないやろ。聴いてちょうだい、やろ」
「聴いてちょうだい」
「聴いたろ」
「簡単や。前からちょくちょく言うてるんやけど、鎖国する以外手はないんちゃうか、思てるんやけどな」
「鎖国すんの?」
「そう。もうこないに糸がもつれてしもたら、『ゴメン! 悪ィ! しばらくどことも付き合いやめる。あれこれ、これがええかいなー、あれやったらどーやろ考えて言うても、なに言うても揉めるもとになる気がするんで、しばらくソーッとしといて、また波風収まってどや? いうことになったらそん時ゃそん時、考えるとして。そうなるまで、ソーッとしといて。頼むわ。いやいや、ムンちゃんは好きなことなんでも言うて、なんぼ言うてもろてけっこう。もうこっちからはなーんも言わん』言うて、カメが首や手足引っ込めたみたいに閉じ籠もってしまう、いうんはどうやろ?」
「それ、韓国だけの話?」
「いやあ、ややこしいとこはみんなや」
「そしたら、アメリカも?」
「そう、アメリカも」
「それで納得すんの? 日本が」
「せんやろ」
「おとーさんは?」
「わからん」