朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

辰巳柳太郎と島田正吾

「やったー! 今日の『水戸黄門』、新国劇の両御大の顔合わせやで。すごいな」

「おとーさん、よかったね。そんなにすごいの? このふたりって」

「そんなにすごいのって、ママンは知らんからそんなことが言えんねや」

「そしたら、よかったやん」

「ああ。ええなあ、ふたりとも。目がええな、形は違うとってもええ目や。辰巳が動で島田が静言われてるけど、その通りやな。すぐ感情が表に出る辰巳と、その反対で内にグーッと感情を抑えるのが島田と、このドラマでもそうやな、観たい思てもそうそう観られん、ぜーたくな話やで」

辰巳柳太郎いうたら、大友柳太朗と名前が一緒やね」

「そうそう。師匠やからな、大友柳太朗の」

辰巳柳太郎が?」

「そやで。それで柳太朗やけど、師匠とおんなじやったらもったいない、失礼やいうて、一字だけ変えてんねや、大友柳太朗」

「そうなん?」

「そやで。柳太郎の最期の字の『郎』を『朗』に変えてねや。こんな字にな。律儀な、昔の人らしいな」

「気がつかなかったわ」

「いや、おれも知ったんはつい最近や。大友柳太朗のことパソコンで調べてみて、わかったんや」

「そういえば、大友柳太朗もよう出てんね、水戸黄門

「これまで観たんは4回か。最初に観たんが浪人もんやろ、続いて、なんやったかな、ああ、おさむらいで、お城の一大事、早馬で駆けてたとき、つい馬の上から荷車引いたおじいさんを斬ってしもうたんや。最期はそのおじいさんを弔うためにお坊さんになるやつ。もうひとつは一徹もんのこれもおさむらい、やむにやまれん事情で上役の家老を斬って自分も切腹して死のうとするんやけど、黄門さんに止められて腹切るのを思いとどまるいう役や。観てて涙がでたな。そして最期は、黄門さんの家来やけど、これまた一徹もんで、助さんや格さんにも煙たがれるいう役」

「ようおとーさん、憶えてるなあ」

「けど、ええ役者さん、ぜーんぶ、おらんようになってしもうたな」

「けど、こうして観られるからえーやん」