軽くて温い蒲団を買う
「どや、調子悪そやな」
「頭重いし寒気するわ」
「血圧計ったんやろ。どやった?」
「クスリ、半分だけ飲んだ」
「昼間はそうもないけど、朝の3時4時から7時8時ごろまでがあかんな」
「うん・・」
「蒲団重たいのがあかんのとちゃうか? それだけではないやろけど」
「どうなんかな」
「カネさえ出しゃなんぼでも軽うて温いやつがなんぼでもあるで」
「カネさえ出せばな」
「持って死なれんて。生きてるうちに使わんと」
「それは知ってる」
「知ってないがな。軽うて温いのがある言うてんのに、ウン言わへんがな」
「それも知ってる。出してくれるんやったら、ウン言う」
「・・・それは、オレの身体やないからな。ママンのこと言うてるんや」
「そう言うやろ。おとーさんの年金、知らんわけないやろ」
「知ってるよ」
「それやったら、カネさえ出しゃあいうんはユメの話や」
「そないなこと言うたら会話にもなんにもならんがな。よっしゃ、オレがなんとかしたろ。ママンの誕生日も近いしな、プレゼントしたるわ。アパネットのCMでやってたやつ、あれ軽うて温そうや。5層構造とか言うてたな、あれプレゼントするわ。もう清水の舞台や」
「なんぼなん?」
「1万、ちょっとや」
「それやったら、わたしが半分出すわ」