朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

例えばな

プロ野球の話やけどな。ベテランのピッチャーがおってな。これまで長いあいだ活躍してたんや」

「うん」

「ところが年数が経ってだんだん衰えてきたんやけど、なんかしらんこれまでの実績を嵩に傲慢な態度をとるようになったんや」

「傲慢な態度って、なんなん?」

「いやあ、監督が他のピッチャー出そうとしても『アカン、オレが投げる』とか、自分が可愛がってるピッチャーに『おまえ、投げ』とか、監督やコーチでもないのにえらい勝手な行動を取るようになったんや」

「ふーん、それやったら野球勝たれへんやろ」

「そう。それでファンも怒って、我慢の限界や言うんで、新人のピッチャーに交代とこなったんや」

「プロはファンあっての野球やからね。それでどなったん?」

「ところがこの新人のピッチャーがやな、まあコーチもあんまり褒められてようなコーチやなかったんやけど、このコーチが自分はもう投げる力もないのに裏からその新人ピッチャーにあれこれ口を挟んでとうとうピッチャー潰してしもたんや」

「しゃあないんとちゃう?」

「うん、そうも言えるけど、投げ始めたばかりのときに急に雨が降り始めてな。それもただの雨やない、ピンポン球ほどの雹まじりの雨や。そのあとなんとか雨は上がったんやけど、そのあと試合は続けて始まったんやけど、味方のエラーやらなんやらあって、またファンが『なにやってんねん!』いうて、あんなピッチャーにやらせたんが間違いやったみたいな、なんやかや言うても、まえのベテランピッチャーのほうがよかった、言うてな」

「もとに戻った」

「そういうこっちゃ」

「そのあとその新人のピッチャーはどうなったん?」

「でる幕なし」

「でベテランのピッチャーはその後活躍してんの?」

「アカン! 以前より悪なったんやけど、ファンはあの新人よりはまだマシやろいうてもうぬるま湯に浸かってるようなもんや」

「ふーん、そうなん。それやったら勝つためにはどないしたらええの」

「新人を引っ張り降ろしたときのことを反省せんとあかんわな」

「どういうこと?」

「新人や。ファンから見たら頼りないやろ。新人やからな。ちょっとの失敗やゴタゴタは大目にみて『ドンマイ、ドンマイ』頑張れやァ言うて、しばらくは見守るくらいの余裕は見せんと、ほんまのファンとはいえんのとちゃうかな」

「活躍するようになるやろか」

「そらなんともわからん。けどすぐにアカン言うて見捨ててたら、いつまでたってもそのチームは強ならへんからな」