朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

カシコくなってバカになる

「これからニンゲンはどうなると思う?」

「なに、おとーさん? 言うてる意味がわからん」

「そやな。漠然としてるわな。テーマをひとつに絞ろか」

「テーマやて、たいそやな」

「オレはニンゲンはますますカシコくなると思うんやけど、ママンはどう思う」

「そらそうやろね。けど、そないなことあんまり考えたことないから」

「そらオレも一緒や。夜中目が醒めて、なんかそないなこと思いついたからな、これ退屈しのぎにママンに訊いてみよ思て、起きて、メモしたんや」

「あれやったんかいな夜中、なんか隣の部屋で電気が点いたんでなんやろ思てたんやけど、それやったん。ヒマ人やな」

「えッ、イマジン?」

「ヒマ人」

「どんどん便利になるやろ。これニンゲンがカシコなった証明や思うけど、ケータイからスマホ、オレみたいなムカシニンゲンにはひとりが一台づつ電話持つ時代が来るやなんてそれだけでもビックリポンやのに、スマホなんかそれすら機能のほんの一部いうやろ。これから将来に向こうてどんな世の中になるか想像もつかへんのやけど、いろんな面で便利ちゅうか暮らしやすうなるいうんか、けどどっかで『ケッコウケッコウ』とばかりは言うとられん不安を感じるんやけどな」

「なに言うてんのおとーさん、そらゼータクな悩みいうねん。有り難いことやないの。ニンゲンにとってこれは大きな進歩、またマキで火おこしてご飯炊くような生活がええ言うの?」

「そう言うてるわけやないけどな。いろんなことで便利になったんはええけど、ウラオモテ、言やあ、例えばやな極端やけど、片一方で原爆作るえらいカシコイ頭脳があると思えば、片方ではそれで自分の欲望ちゅうのか世の中をなんとかしょうという、とてもホメられん劣化した頭脳があるわけや」

「なんや、えらいややこしいハナシになったな。そろそろイズミヤ行かな、98円のタマゴ、のうなるんやけど」

「すぐ済むわ。オレもなにが言いたいのか、ぼやけてきた。いまは98円のタマゴのほうが大事やから、これは続きにしてタマゴ買いに行こか」

「そやで。そっちが大事や」