コンマリ流片付けの術
「ママン、コンマリて知ってる?」
「知ってるよ。けどアカンねん。医者に言われてんねん、甘いもんアカンて」
「なにそれ?」
「ァン巻やろ? アンコ包んだお菓子。とーにょー予備軍言われたから、アカンの」
「ちゃうちゃう。人の名前や。近藤麻理恵、縮めてコンマリ」
「その人がどないしたん?」
「あれ、ママン、テレビ観てなかったか?」
「いつのこと? 起きてから? 観てたけど憶えてないわ」
「家んなか服とか本とか、片付けないかんなー思てるもんがよーけあるやろ。その片付けの本を書いた人」
「ああ、その人。名前なんいうの?」
「近藤麻理恵さん。縮めてコンマリ。いまアメリカなんかでえらいブレークしてるて、テレビで言うてたやろ」
「ああ、その人のことな。聞いた聞いた。活動拠点をニューヨークに移すとか言うてたやろ。若いのにえらいな」
「ああ、ほんまやで。どこの国でも共通の悩みなんやな。家んなか片付けるいうの」
「わたしなんかでも、お母ちゃんに買うてもろたもん、着られへんけど、まだ取ってあるもんな」
「ええこと言うてるで。『片付けは物との対話』やて。言われてみりゃあ、そうやな。目の前に置いて『ときめき』がないのは処分するて、おれも服や本の前でときめいてみたいな」
「わたしはどーなん?」
「決まってるやないか。おれこそアヤウイわ。言うてよ、いらんよーになったら」
「カラダ、元気やろ?」
「まあな。尿漏れパンツはしてるけど、カラダはなんともない」
「そやろ。もうしばらく対話続けてもえーか」