朝ぼらけジジイの寝言つれづれに

夜中に目が覚めて、色々考えることがあります。それを文章にしてみました。

「ママン、出た出た」

「ママン、今朝は出た?」

「うん、出たよ」

「おれも出た。けど簡単に出るときと、なんやしらガンコにになって、グーッと歯を食いしばったみたいにクチ閉じてテコでも動かん、『ゼッタイ! 出てやらへんぞ』いうときがあるんは、なんでやろ?」

「そんなんやったら、クスリのんだらえやないの。貰ってるんやろ?」

「貰ってるけどな。アレルギーのクスリものんでるんで、あんまりのみとうはないんや」

「そーやろーけど、毎日決まって出たほうが安心するやろ」

「そやねん。若いときは全然気にすることもなかったんが、このトシになると気にせなならんなんてわからんかったからな。そんなん親も言わへんし。その日のうちに1回でもありゃ安心するけど、ないと、翌日あってもな、ヤギやウサギのやつみたいに堅うてポロポロしたやつが出て、痛いんや」

「わたしも同じよ」

「そーかママンも一緒か。水分が不足すると堅うなるて聞いたんで、けっこう水分とってるつもりやけど、そんなことないわ」

「わたしかてけっこうお茶のんだりして水気のもん摂ってるけど、おとーさんと一緒やで」

「ローカ現象で片付けんとしょーがないか。子供のころやけどな。よう学校の帰り、家までガマンでけんとお漏らししてたんや。いまんなりゃ、簡単に出てたあのころが懐かしいな。おっかさんのカオ見たら、泣いてな。子供ごころにも自分自身ナサケない思てたんやろな」

「初めて聞くはそんなハナシ」

「こんなハナシ、若いときはでけへん。このトシになったからへーきで言うんやけど、こんなん忘れんもんやな」

「学校にトイレ、ないわけないやろになんで?」

「小のほうはなんともなかったんや。けど大のほうはなかなか入られへんかったんや。なんで言われても、アカンタレやったからやろなあ」

「それでどないしたん?」

「すぐ近くに、洗濯もできるような小川が流れてたからな。そこへおっかさんに手ェ引っ張られて、漏らしたやつ川に流して、おれのシリもパンツも洗てもらう、ちゅうハナシや」

「わたしはそんな経験ないけど、おかあさん大変やな。けど夏場はええけど、冬はそれもでけへんやろ?」

「それがな。寒いときの思い出はないんや」

 

「お漏らしすることをな、熊本弁で『しかぶる』いうんや。このへんで言うても通じへんわなあ」

「おかしな言い方やね。それウンコでもオシッコでも?」

「そーや。どっちでも」